カタフリ 住田
Noon Reportの標準化:船舶データ活用が新たなステージへ

Smart Maritime Networkが、Lloyd’s Registerなどのパートナーと共に、Noon Report用の標準化された船舶データセット(STANDARDISED VESSEL DATASET:SVD)を開発しました。(リンク)
海運業界において、船舶から陸上オフィスへ毎日送信される「Noon Report」は、船舶運航の重要なデータを提供する基本的なコミュニケーション手段です。しかし、これまで業界全体で標準化されたレポートフォーマットは存在していませんでした。この取り組みにより、業界全体でデータが容易に比較・分析できるようになり、生産性と戦略的洞察が向上するとされています。
💬ポイント
比較的利用しやすいNoon Report
このプロジェクトで特に注目すべき点は、比較的シンプルで一般的なデータポイントを持つNoon Reportを標準化の対象として選んだことです。Noon Reportは、船舶が毎日作成するものであり、そのデータポイントは大抵の場合、手動で報告されます。
通信環境の課題とデータ分析
船舶はしばしば通信環境が不安定な状態にあるため、データの収集と送信には多くの課題があります。Noon Reportのような簡素なデータ形式を用いることで、このような通信環境の制約がある場所でも、データ分析への第一歩を踏み出しやすくなっています。
センサーなしでの船舶パフォーマンスの向上
Noon が提供するReportータは比較的基本的なものであり、高頻度のセンサーデータと比較するとその精度や詳細度は劣るかもしれません。しかし、Nautilus Labsの指摘によれば、これらのヌーンレポートを同種の船舶のデータと組み合わせることで、高頻度データによる分析の62%匹敵する洞察を得られるということも報告されています。
データ活用への第一歩
以上のように、ヌーンレポートの標準化とそのデータの活用は、高額なセンサー設備を必要としない形で船舶のパフォーマンスを向上させる道を開くものと言えます。これは、業界全体の効率性と持続可能性、そして運航者の利便性に対して非常にポジティブな影響を与えるでしょう。
出展・参照
Standardised Vessel Dataset for Noon Reports - Smart Maritime Network